皆様ご存知のセンターショット。
このブログを読んで下さっている方の中で、「やったことない」という方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか?
それくらい有名な練習です。
自分も、自身のレベルがC級位になってからは、500本くらいを週5で撞いてました。
それくらいの本数をこなすのは、ビリヤード場の店員であったり環境が整っていないと出来ないとは思いますが、それでも多くのプレーヤーが練習に取り入れていると思います。
何本もこなすことで、フォームやストロークが安定してきたり、入れ続けることでシュート力の自信もついたりします。
ただある程度のレベルになってくると、ひたすら本数をこなすというだけでは練習の意味がやや薄れてきます。
今回はそれを感じた出来事を紹介します。
今から10年弱前の全日本選手権でフィンランドのミカ・イモネン選手と対戦した時のことです。
当時プロになりたてだった自分は、全日本選手権という格と会場の雰囲気でただでさえ緊張していたのですが、さらに対戦相手が当時世界のトップ中のトップということで、大勢のお客様が我々の試合に注目してくれていてそれはもう全身の震えが止まらない様なガチガチの状態でした。
そして、ゲーム序盤で回って来た配置が、
そうです、今まで練習で何千何万と入れてきたセンターショットです。
しかし、いざ球に向かって構えてみると、それはそれまでのセンターショットとは全く違う配置に見えました。
ポケットが果てしなく遠く感じる・・・
ポケットがものすごく狭く見える・・・
・・・
「全く入る気がしない・・・。」
・・・
結果その球は外してしまい、試合も負けてしまいました。
その時に強く思いました。
「今までのセンターショットの練習では全く意味がない。」
そしてその旨を当時師事していたメンタルトレーナーの先生に伝えると、こんなアドバイスをくれました。
「1時間で100本センターショットをするのではなく、59分は球を撞かずにただひたすら集中して、最後の1分で1本だけセンターショットする、というような練習をやってみたら?」
かなり極端な表現でしたし当時の自分には衝撃的な提案でしたが、それと同時に今までの「練習」の概念が変わった瞬間でした。
「本番は常に一発勝負でしょ?」
言われてみれば極々当たり前のことの様な気もしますが、それまでの自分の練習はそのことがすっぽり抜け落ちていました。
本数をこなす(もちろん高いモチベーションで、集中して)練習は、技術向上のためには欠かせないですし(特に初心者、中級者位の方には)、絶対に必要なものだと思います。
ただ、どうしても1球が軽くなりやすいですし、それだけでは「上手く」はなれても「強く」はなれません。
「強く」なる為には、自分自身に極限までプレッシャーをかけて(自身の例でいうと、あの時のイモネン戦と同等の、あるいはそれ以上の)、目の前の1球を極限まで重く捉え、そしてその球を「絶対に入れる」、というような練習が必要なのだと思います。
「上手くなるための練習」
「強くなるための練習」
初心者の方はまずは前者に比重を置いて練習するのが良いと思いますが、スキルが上がっていくにつれて、徐々に後者の練習の割合を増やしていく必要があると思います。
「B級からなかなかA級に上がれない・・・。」
「練習で出来ることが試合だと発揮できない・・・。」
このようなことでお悩みの方、「何のための練習をしているのか?」今一度考えてみると、もしかしたら少し道が開けるかもしれません。
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